第2戦 NAPAC富士SUPER TEC 24時間レース

A DRIVER | 浅野 武夫 |
B DRIVER | 伊藤 慎之典 |
C DRIVER | 澤井 良太朗 |
D DRIVER | 西村 和則 |
E DRIVER | 鈴木 翔也 |
F DRIVER | 三上 和美 |

| 5/26 予選 | 5/27-28 決勝 |
順位 | 7位 | 3位 |
結果詳細 | 浅野 2.00.931 伊藤 2.00.122 | 浅野 146周 伊藤 142周 澤井 87周 西村 41周 鈴木 139周 三上 49周 |
【フリー走行・予選】

2023スーパー耐久シリーズの第2戦、富士24時間レースは5月26日~28日に開催された。HANKOOKのモータースポーツ用タイヤ工場が火災となった影響で、今回のレースはDRYタイヤがBRIDGESTONE製、WETタイヤがHANKOOK製となった。チームは4月28日の事前テストで新ドライタイヤ、POTENZA RE-12Dのライフ確認とマシンセットアップを行った。
POTENZA RE-12Dは市販ラジアルタイヤながら、コンディションを選ばないグリップ性能と耐久性であることを確認。レースウイークの5月24日水曜日からは、NEWエンジンのチェックと前節の鈴鹿戦をベースにサスペンションのセットアップを進めた。夜間占有走行ではスポット参戦のC~Fドライバーのマシン・タイヤ習熟を行った。
予選ではWedsSport GR86とトップチームのタイム差が縮まった様に思えていたが、結果は7位。一方でタイヤライフはダブルスティントに耐えられるので、各ドライバーがコンスタントに周回できれば、チェッカー時にに上位を狙える手応えは掴めた。決勝レースの開始時刻は27日土曜日15時だ。
【決勝】

24時間の決勝レースでの給油は容量20Lの指定給油ボトルを使用する。1回のピットストップでの最大給油量は3本60Lまで。また、ピットストップ時間は110秒以上と定められている。またAドライバーの最低運転時間はレース時間の15%以上となった為、浅野は3時間36分以上の走行が必要となった。14時59分、気温22℃、路面温度44℃ドライコンディションで24時間の決勝レースは始まった。

スタートドライバーの浅野は7位から出発すると、早速先行する60号車とのマッチレースを繰り広げる。浅野は45周に及ぶ攻防の末に60号車をオーバーテイク、884号車と3号車のピットインを受けて一時4位に浮上する。54周目で浅野は澤井へとバトンタッチ。澤井は60Lの給油とタイヤ4本交換を行って5位でコースに復帰した。ハイペースな60号車との差は徐々に開き、87周目には57秒のギャップが生まれる。104周目「エンジンストップ!」澤井からチームに無線が入る。ピットは澤井に追加フューエルポンプのスイッチON指示を出しすと、マシンは無事動き出し、澤井はピットイン。ボトル給油3本とタイヤ4本を交換して伊藤へ交代した。
伊藤は6位でコース復帰、2分2秒~5秒台で走行すると、126周目の段階で5位60号車とは約2周差となる。138周目、FCY導入からSCランとなった為伊藤はピットイン、ボトル給油1本でピットアウトした。しかし24時間レースは他レースと異なり1本給油時のピット滞在時間も110秒というルールであり、チームは不足時間の53秒のペナルティストップを受けてしまう。そのまま139周目~147周目はSCランとなったため、伊藤は再度ピットイン、鈴木へと交代するとボトル給油2本とタイヤ4本を交換してピットアウトした。

鈴木は156周目にペナルティストップを消化、5位41号車に約半周差で6位で走行を続ける鈴木は198周目にピットインすると西村へと交代し、ボトル給油3本でピットアウトした。西村は6位でコース復帰するが、239周目に「エンジンが吹けない」との無線が入る。計算上、20L程はGASが残っているため、チームは追加フューエルポンプのスイッチON指示を出し西村はピットイン、伊藤へと交代するとボトル給油3本とタイヤ4本を交換してピットアウトした。
しかし、再度伊藤から「エンジンが吹けない」との無線が入ったため、チームはピットBOXにマシンを入れてチェックを行った。燃料漏れとセンサー故障が発覚し、チームはマシンの修繕に入った。伊藤がピットBOXにマシンを入れると同時にコース上では884号車の車両火災が発生。FCYから約30分間のSCランとなった。チームは10分間のメンテナンスタイムをここで消化し、約36分間でマシンを修繕すると伊藤は7位でコースに復帰した。完全に修復されたマシンで伊藤はコンスタントに周回を重ねる。
伊藤の22秒前、6位には66号車ロードスターRF。248周目、884号車がリタイアの為6位となると、249周目には3号車がストップ、5位へと浮上する。伊藤は264周目に2分2秒177のベストタイムを出すと、2分2秒~4秒台で周回を重ねた。283周目には66号車がFCY中のピットインに対するペナルティストップ60秒となり逆転、4位へ浮上した。294周目、伊藤はピットインして鈴木へ交代するとボトル給油3本でピットアウトした。

320周目、86号車のクラッシュによりFCY導入、322周目にはSCランとなり、そのまま325周目の午前3時36分にレースは赤旗中断となった。夜が明けた午前5時にレースは再開すると、その周の326周目に鈴木はピットイン、ボトル給油3本とタイヤ4本を交換して浅野へと交代した。341周目の順位は1位60号車、2位41号車、3位66号車で、浅野は約35秒差の4位となる。66号車が350周目にピットイン、浅野は3位へ浮上した。380周目浅野は安定したドライブでピットに戻ると、ボトル3本を給油して今回久し振りのレース復帰となる三上に交代した。三上も安定した走行を披露。49周を走行して429周目にピットインし、ボトル給油3本とタイヤ4本を交換して鈴木へ交代した。
449周目、41号車がマシンの修復に入ると、452周目に鈴木は3位へと浮上。479周目に鈴木はピットイン、ボトル給油3本を行って澤井へと交代した。澤井は482周目にスピンを喫するなど、なかなかタイムが上がらない。その後は徐々にタイムを回復するが、ここでチームはブレーキバッドの交換を決断した。澤井が予定より早めの516周目にピットインして伊藤へ交代すると、チームはフロントブレーキバッド交換・ボトル給油3本・タイヤ4本交換を行った。

ピットタイムは5分36秒。コース復帰した伊藤は2分3秒~4秒台で周回して565周目にピットイン、最後のスティントを浅野へと託した。ボトル給油3本でピットアウトした浅野も同じく2分3秒~4秒台で安定して周回を重ねた。
そして15時00分、WedsSport GR86はTOTAL604周を走破して、TOPと10周差、2位と4周差の3位で荒れた24時間レースのチェッカーを受けた。浅野はチーム最多の146周を記録した。
【チーム監督コメント】
浅野 真吾

チーム代表・監督コメン 「年に一度の24時間。緊張と期待、そして興奮を感じながらのレースウィーク。フリー走行ではトップの2秒落ち。ただ24時間の戦い方はマシンを壊さずしっかりゴールまで繋いで行く事。ドライバーには徹底してマシンへの労り方、他車との接触には注意してもらいました。
決勝では多少のメカニカルなトラブルは出たものの、ドライバー、メカニックには本当に素晴らしい仕事をしていただき、その結果、3位表彰台は自分にとっても
チームにとっても嬉しい結果にはなりました。スポンサー様を初めて、ドライバー、メカニック、スタッフ、そし応援していただきましたファンの皆様、心から感謝いたします。ありがとうございました。まだシーズンは始まったばかり。優勝目指して頑張ります。」
【ドライバーコメント】
浅野 武夫

「24時間レースが難しい事は分かってはいるのですが 今年はドライバーも変わりどの様な展開になるか予想がつかない中、 練習・予選と無理せず86のセット出しに専念して、決勝に向け集中する事にしました。スタートしてからはペース配分を考え、各クラスの走りを確認しながら走行し、どの車両も無理せず24時間後のチェッカーを目指す走りをしているのが分かりました。
さて、実際70歳になった自分が何処まで走り切れるのか、と不安と楽しみの中でのドライブでしたが、自分の想定したタイムでは走れず、もっと練習の必要性を感じています。スタッフや応援してくださる方々の為にも頑張って走って行きます。
これからも 応援・サポートしてくださる皆様の期待に応えるように頑張っていきますので、応援よろしくお願いいたします。」
伊藤 慎之典

「今回の富士からはタイヤメーカーが変わり、さらにスリックからラジアルといった変更もあって、前回の鈴鹿で見つけていた車のセッティングとは大幅に変えて挑みました。走行が水曜日からあったのでなるべく車に負荷を掛けないようエンジンの回転数やシフト操作に気を遣いながらテスト走行を重ねていきました。
金曜に迎えた予選では2周計測しましたが両方ミスをしてしまいました。土曜からの決勝では1スティント目から5速が渋いから労って走ってくれとの無線が入り、3スティント目に自分が乗った感触では24時間はもたないと思いましたがその後ドライバー全員が労りなんとか完走できました。途中トラブルもありましたが他車との接触はなく走り切れたことで3位という結果が付いてきたのだと思います。次戦のSUGOでは予選の課題を克服出来るようシミュミレーターなどでトレーニングをして挑みます。次戦も表彰台目指して頑張りますので応援よろしくお願いします。」
澤井 良太朗

「個人的には2戦目のスーパー耐久。初の24時間レースとなりました。
前戦と比較すると個人個人のスティント、乗車時間が延び、長丁場のレースになるため、路面やマシンの状態が全く違う中でのドライブが予想されました。私のスティントはレース開始から2時間後と20時間程度が経過した時点を担当。マシンの状態は、ブレーキパッドの残量に課題を抱えながらのドライブとなり、制動力には不安がありましたが、そこまで大きな変化は見られませんでした。問題は路面で、開始2時間と20時間後では、タイヤカスの量や他マシンをドライブするドライバーが違ったりと不安材料が多く合わせこむことに苦労してしまいました。終盤にはなんとか挽回できましたが、新たな課題を見つけられたレースとなりました。一つだけポジティブな要素は、ドライバー全員がマシンを24時間走らせられたという点です。今回の24時間レースでは、改めてモータースポーツはチームスポーツだということを再確認することができました。他のチームのトラブルありきとは言え、クラス3位という結果はチーム一丸となれた証だと思います。応援ありがとうございました。」
西村 和則

「この富士24時間レースで3位表彰台が獲れた事は、チーム全員が24時間集中して頑張って戦ってくれたおかげだと思います。
本当にチームの皆さんには感謝しか有りませんし、本当にお疲れ様でしたと言いたいです。ドライバーとしても、決勝レース途中でマシントラブルやペナルティでのロスは有りましたが、他車との接触、マシンを壊さない事をドライバー全員でしっかりと24時間レースで成し遂げられた事は表彰台を獲得する為に必要なステータスだったと思いますし、ベストを尽くせました。個人的には、まだまだドライバーとしての力不足を感じますので、また乗せて頂く機会があればさらにチームの力になれるよう、頑張ります。応援有難うございました。」
鈴木 翔也

「初のスーパー耐久、初の24時間レース参戦となったレースウィークでした。
タイヤがラジアルへ変更になった為、浅野選手、伊藤選手がセッティングを試し自分が走行する際は車への慣れと他クラスへの配慮を意識しました。
金曜日の予選もEドライバーのタイムはポジションに影響しないので車の確認、労わる事を重視し走行しました。
決勝では夜間を含む3スティントを走り、トラブル無く次へ繋ぐ事を優先に落ち着いて周りの車を見ながら走る事が出来ました。ラップタイムやレースペースなどの課題もありましたが、完走さらには3位表彰台に立つ事ができ嬉しいデビュー戦になりました。次戦以降の参戦はまだ未定ですがこの経験を活かし努力し続けていきたいと思います。
チームの皆様。一緒に走ってくれたドライバー、車両。そして応援して頂いた方々への感謝の気持ちでいっぱいです。本当にありがとうございました。」
三上 和美

「今回は24時間耐久レースに参戦のチャンスをいただき、ありがとうございました。今回のレースは私にとって、生涯忘れられないものとなりました。浅野レーシングサービスとの出会いは、私が19歳くらいの時に峠でドリフトをしてクラッシュをした際、友人に「腕の良い板金屋さんがあるよ」と紹介していただいたのがきっかけでした。レースに全く興味なかった私に走る楽しさを教えて下さったことが、その後21歳のAE86によるデビューに始まり、スーパー耐久、JAF-F4、ポルシェカレラカップ様々なレースへの参戦へと繋がり、結果としてプロドライバーになることが出来ました。全てが浅野武夫氏と、浅野レーシングサービスのおかげです。その後は体力や自分の才能の限界を感じ引退しましたが、昨年浅野武夫さんと再会したことをきっかけに、紆余曲折を経た結果、今度は趣味で楽しく走る「ジェントルマンドライバー」として、サーキットに戻ることとなりました。
しかし戻るとは言っても、ギャップは20年。大急ぎでどんなにハードな練習をしたところで、出場するのはスーパー耐久で、そしてマシンはグループA時代カラーのGR86なのですから……相手が大き過ぎます。
レース本番では、やはり付け焼刃の練習ではGR86の性能を完全に引き出すことが出来ず、ラップタイムも満足の行くものではありませんでしたが、チームメイトとメカニックさんのおかげで3位表彰台という望外の結果を得ることが出来ました。この結果は、私にとって本当に奇跡的な事だと思います。今回の戦いは数あるレースの一つではなく、本当に特別で、人生で一番のチャレンジでした。レース後に嬉しくて泣いたのは、初めてです。次回も参戦のチャンスをいただけるとしたら、もっと練習して、タイムアップして、チームメイトとのタイム差を無くしていきたいと思っています。
今回のレースを通じて、「浅野レーシングサービスは本当にすごいチームだ」ということを、再認識することが出来ました。最後になりますが、引退した私を快く迎え入れてくださったこと、深くお礼申し上げます。」
チーム体制

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